事例紹介 MuleSoft 2030年のものづくりを見据えたAIエージェント連携基盤 マルチAIエージェントでバリューチェーン最適化へ ポリプラスチックス Case Study デジタルサービス基盤を整え、部門横断で活用 蓄積したデータ資産をAIの力に変える 業務に専門特化したエージェント群 MuleSoftで認証、認可、連携を統制 現場主導の改善と基盤整備を両輪に 文化と成果を段階的に積み上げる変革 プロフィール ポリプラスチックス エンジニアリングプラスチック(エンプラ)黎明期の1962年に創業したエンプラ専業メーカー。プラスチックの中でも機械的強度、耐熱性、耐薬品性などに優れた高機能樹脂と位置付けられるエンプラの製造・販売を行っており国内外に23の営業拠点を展開。 設立: 1964年 本社: 東京都港区 Webサイト: https://www.polyplastics.com/jp/ ポリプラスチックスが導入した「AIエージェント基盤導入支援サービス」とは 米Salesforceが提供する「MuleSoft」――システム連携や自動化を支援するIntegration、API Management、Automationなどの機能にAI連携を加えたソリューションを活用し、エンタープライズAIプラットフォームの構築を支援するグローバルウェイのサービス。MuleSoftを中核にAIエージェント基盤、API主導の接続、データ統合、内製化をワンストップで支援する。戦略設計からPoC、実装、運用伴走、C4E構築までを一貫して提供している グローバルウェイとともに描くAI時代の製造業DX──ポリプラスチックスの挑戦 エンジニアリングプラスチック(エンプラ)市場を代表するポリプラスチックスは、グローバルウェイの伴走支援の下でシステム統合プラットフォーム「MuleSoft」を導入。10年先を見据え、分断されていた部門間データを統合するDX基盤を構築した。これにより、生産領域では工場の稼働状況を可視化する、製造原価の変動要因を明確化する、などを実現。処方設計、生産技術、製造の各部門が同じデータを共有し、連動できる体制も整備した。業務効率の向上は顧客接点の強化にもつながり、年間報告書の作成数は150件から250件に増加。ビジネス成果としても表れている。現在は、MuleSoftで統合したデータ資産をAPI経由でAIエージェントが活用できる仕組み「MuleSoft」によるマルチAIエージェント基盤の構築を進めている。 方針 デジタルサービス基盤が整い、次のステージへ AIエージェントによる本格的なデータ活用に挑む デジタルサービス基盤で部署間のサイロ化を解消 Salesforceや既存ERPなどを統合させる仕組みの中心にMulesoftを活用することで業務連携やデータ統合が進展した。次の目標は、そのデータを活用して各部署がビジネス価値を創出できる状態を実現すること。 活用文化の醸成とガバナンスの構築 社員のデータ活用やAIリテラシーには差がある。組織としてデータ活用文化を育むために、「まず使ってみる」を合言葉にして文化醸成を促進。活用レベルに合わせてガバナンスを整備している。 データ基盤なくしてAIエージェントは動かず データ基盤に蓄積されたデータから価値を生み出すには、各業務に特化したAIエージェントの協働が不可欠。人と人が対話するようにAIエージェント同士が連携し合う世界を目指す。 進化 AIエージェントを「人」に見立てた運用 マルチエージェントの相互連携と統合ガバナンス 各業務システムに最適化されたAIエージェントを配備 優秀なAIツールが1つあっても、専門性が求められる業務に十分対応できない。 そこで営業、法務、生産など、業務領域で利用している業務システムごとにAIエージェントを構築。領域ごとの知見とデータを生かし業務に最適化されたAI活用を実現する。 AIエージェントを相互連携し、一元的なガバナンスも確立 業務システムごとに構築したAIエージェントをMuleSoftで統合管理し、協働させる。P2Pによる個別接続で生じがちなスパゲティ化を防ぎ、再利用性と変更耐性を確保。 さらに、ガバナンスの一元的な管理も実現する。 AIエージェントを「人」と同様に捉える設計 AIエージェントが「1人の社員」として自律的に役割を果たせるよう認証、認可の権限を付与するとともに、AIエージェント同士が協働して最適な結果を生み出せるよう統合管理する。例えば「営業部門のAIエージェント」は人事データにアクセスできないが「人事部門のAIエージェント」から情報提供を受けるといったようにAIエージェントの協働を自動的・統合的に制御する。 「AIエージェント基盤導入支援サービス」の選定ポイント 独自のAIエージェントを作成できる 各業務領域に特化した複数のAIエージェントが連携して動くには「APIをAI化」する必要がある。MuleSoftはそれを実現する最適なソリューションだった。 プラットフォームに依存しない高い拡張性 MuleSoftは、「Salesforce」や基幹システムはもちろん、外部LLMやレガシーシステムとも安全に接続可能。さまざまなシステムをAIエージェント化できる柔軟な拡張性を備えている。 AIエージェント群の協働を統合管理 複数のAIエージェント同士が連携することですることで幅広い業務を担うために不可欠な認証、認可の仕組みを備えており、ビジネス利用に適したガバナンスを実現する。 お客さまインタビュー PoCで見えてきたAIエージェントの実用域 社内で最も多くの部署が関わる「お問い合わせ対応業務」を対象としたAIエージェントの検証プロジェクトにグローバルウェイさんが提供する「AIエージェント基盤導入支援サービス」を採用しました。グローバルウェイさんによるアドバイスを踏まえ、データのベクトル化やLLMを活用した仕組みをICT統括部が提案し、それを業務にどう生かし、どう発展させていくか業務部門が検討しています。 現在は、顧客接点の強化と業務効率化を目的にPoC(概念実証)を実施中です。お客さまから寄せられた問い合わせをAIエージェントが分類し、最適な部門や社内の専門家へ振り分けています。さらに、社内データベースを参照して、過去の類似事例から回答案を自動生成することも可能です。これらの処理は安定して動作しており「実用レベルに近づいてきた」と実感しています。 PoCの次フェーズでは、特許や論文といった外部データも参照しながら、より高度な回答の生成に挑戦します。新規性や業界トレンドを踏まえて、問い合わせの背景まで推察できる仕組みが目標です。こうした取り組みは、現場のデータ活用文化を醸成しながら段階的に広げたいと考えています。 AIエージェント活用の未来を共に描くパートナー グローバルウェイさんには、MuleSoftによるデジタルサービス基盤の構築からMuleSoft AI Chainの導入まで、一貫してご支援いただいています。MuleSoft社さんでも即答が難しい技術課題に対しても、共に考え最適な解決策を導き出してくださいます。私たちの事業内容やAIエージェント活用への考え方、今後の展望まで深く理解してくださっており、もはや単なる技術パートナーという枠を超えた信頼できる伴走者だと感じています。 「データ連携なくしてAI活用なし」── 2030年に向けたものづくり革新の道 私たちは、ものづくりの根幹にAIを取り入れて、研究から設計、生産までに至るバリューチェーン全体の高度化を目指しています。 研究所では配合や処方の最適化を、生産現場では製造条件の自動調整を、設計部門ではパラメーターの最適化を行う。それぞれの部門に配置されたAIエージェントが互いに連携し、1つの知的システムとして自律的に機能する姿を描いています。 それを実現する鍵となるのが、地道な「データ基盤の整備」です。 部門ごとに閉じていたデータを統合し、研究所から生産技術、設計、製造へと情報が途切れなく流れる仕組みが必要になります。 職人かたぎの技術者たちが日々の現場で培ってきた知見こそ、企業の財産です。その知をデータとして共有し、組織全体の力へと昇華させる文化を、私たちは着実に育んでいます。 「データ連携なくしてAI活用なし」。 この言葉を胸に、私たちは2030年という未来から逆算したルートを確実に歩み続けていきます。 ポリプラスチックスICT統括部長 押手 孝太 氏 ポリプラスチックスICT統括部 課長博士(工学) 平田 邦紘 氏 AIが“協働”する未来へ ポリプラスチックスが描くマルチAIエージェント構想 ポリプラスチックスが目指すのは、AIエージェントが連携して動く「マルチAIエージェント型」の運用だ。人間が部署をまたいで協力するように、営業、法務、品質保証など専門性が異なるAIエージェント同士が会話し、判断し、行動する――このように「AIが協働」する。同社は、営業企画部が対応している「顧客問い合わせ」の内容確認と関係部署への連携を、「問い合わせAIエージェント」によって自動化する検証の最中だ。同AIエージェントは、顧客からの問い合わせを確認し「担当窓口の割り振り」「最適な回答文の提案」などを自動で実行。担当者の負担軽減、対応スピードの向上、レスポンス品質の改善といった効果が出ている。今後は、社内外に十分な情報がある「開発シミュレーション」「製販在庫計画」「新たな市場開拓」といった領域での展開を構想している。 マルチAIエージェント構想を実現するグローバルウェイのサービス AIエージェント基盤導入支援サービスは、AIエージェントの作成・拡張・協働を実現する基盤開発と、AIエージェント群の統合管理・運用を行う基盤導入をPoCから本番運用、内製化まで一気通貫で支援する。本サービスでは、MuleSoftが備えるAPI管理/iPaaSの機能を中核に、「MuleSoft AI Fabric」「MuleSoft AI Chain」「MCP/A2Aコネクタ」を統合。Salesforceの「Agentforce」を始めとする、企業内外に存在する複数のエージェントを協調させることにより、企業のさまざまな業務に革新をもたらす。 アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部 導入したサービス MuleSoft AIエージェント基盤導入支援サービス Action化とガバナンスで安全に実行し、RAG運用で継続改善。PoC〜本番〜内製化まで一気通貫で導入を支援します。 詳しく見る 事例紹介一覧に戻る